前エントリでご紹介した「組継ぎ豆本」の「中身のある完成形」を作りました。当研究会ならではと思えるような中身を考えたところ、「書体見本帳」というかたちになりました。「なの帳」は文字通りひらがなの「な」と「の」だけの書体見本帳です。書体の個性は「な」と「の」に一番良くあらわれると言われています。ページをめくって比べていただくと、違いがよくわかると思います。あと豆本なので「小さい」→「nano」の連想も含まれています。
なの帳【明朝体10選】【ゴシック体10選】
今後も続刊予定です。
◉制作の背景
「名古屋には文字にこだわるデザイナーが少ない」という話をよく聞きます。これには名古屋に出版社(特に文芸系)がすくない、などこの土地特有の理由がいろいろとあるようですが、グラフィックデザインにおいて文字をおろそかにする、ということはありえないことです。
現在、名古屋には文字について勉強できるオープンなセミナーは皆無と言ってもよいでしょう。若いデザイナーに聞くと、デザインの専門学校や大学でも文字についてはあまり教えていない、という話もよく耳にしました。十数年前に私が通っていた専門学校でもほとんど教えていませんでした。
「名古屋には文字にこだわるデザイナーが少ない」という話をよく聞きます。これには名古屋に出版社(特に文芸系)がすくない、などこの土地特有の理由がいろいろとあるようですが、グラフィックデザインにおいて文字をおろそかにする、ということはありえないことです。
現在、名古屋には文字について勉強できるオープンなセミナーは皆無と言ってもよいでしょう。若いデザイナーに聞くと、デザインの専門学校や大学でも文字についてはあまり教えていない、という話もよく耳にしました。十数年前に私が通っていた専門学校でもほとんど教えていませんでした。
これは由々しき事態です。すくなくとも、若いデザイナーが文字に興味をもち、最低限の文字の知識を勉強できるきっかけはつくらなくてはいけないと思いました。
「なの帳」は若いデザイナーや文字の初心者に向けて、わたしたちが「知ってほしい書体」を紹介するものです。あくまで「わたしたちが選ぶ」書体なので、「これ以外はダメ」ということはありませんし、好みによる多少の偏りはあると思います。しかし知っておいて損はない書体ですし、使用することで「格好いい・読みやすい」デザインを作れる可能性は格段にアップします。
特に、合成フォントで使用する「かな書体」は積極的に使ってほしいと思います。
「なの帳」は「本」です。本は資料書類などとちがって、いろいろな場所にひとり歩きします。
現在、初夏頃にわたしたちが主催する勉強会で、参加者がこの本を自分の手で組み立てて、持ち帰っていただくことを考えています。勉強会に来られない方には、PDFデータをダウンロードして自分で組み立てることができるように、準備をしています。「組継ぎ本」は特別な道具が必要ありません。
「なの帳」は欲しい人が誰でも、自分のために組み立てることができる書体見本帳をめざしています。
本書を、一人でも多くの文字に興味を持つ方に手にとっていただけることを願っています。本の中身や勉強会の予定などについては、本ブログで随時発表していきます。