日本語デザイン研究会[中部]で展示制作を担当したのは、展示部分の「見本書体見本」と「筑紫オールド明朝の合成フォント例」の2つの展示です。
「合成フォント例」に関しては、こちらから提案しました。私にとって「筑紫オールド明朝」の漢字は、オールド系の仮名書体との合成フォントにおいて絶対に外せない重要な書体なので、それを沢山の人に知ってもらいたい、という考えがあったからです。
私が会場を訪問したのは2日目の11月23日。
会場に着くと、まず目に飛び込んできたの当研究会の展示である「見出し書体見本」の拡大ポスター。来春リリース予定の新書体「筑紫アンティーク明朝」が際立っています。
筑紫アンティーク明朝のインパクトが大きい見出し見本展示
大きな「おぅい」は筑紫丸ゴシックのAとBを見比べるためのもの
展示室に入ると、当研究会で制作した原寸のパネルがずらっと並んでしました。左側には写植機も置いてあり、奥にはデザイナーのインタビューや書体制作のストーリーの展示が。来場者はみんな真剣に展示を読まれていました。
展示ブース。手前が当研究会制作の書体見本パネル
筑紫オールド明朝を使用した合成フォント例
書体見本の展示パネルは、見出し書体としての使用を前提として、見比べてほしい書体や、個人的に重要だと思った書体を大きくしたりして、レイアウトで飽きさせない工夫をしてみました。組見本で使用した「おぅい」からはじまる例文はディケンズの短編なのですが、最初の「おぅい」がコミカルに見えたのか、一部では好評だったようです。実際には怖い話なのですが。
メインはやはり豪華な講演です。この日はソフトバンク・テクノロジーの関口さんのwebフォントに関するお話と、祖父江慎さんと藤田重信さんの対談だったのですが、聞くのに夢中になってしまい、ほとんど写真を撮るのを忘れてしまったことが悔やまれます。内容に関してはすでに他の参加者の方々がブログにアップしていたり、togetterにもまとめられていますので、そちらをご参照下さい。
私個人の感想としては、藤田さんの書体制作方法が意外と感覚的だったことが驚きでした。それと「書は苦手で全然上手くない。筆の動きをちゃんと理解していれば書体は作れる」という言葉が印象に残っています。
祖父江さんが「筑紫オールド明朝」を「これまでの明朝体の漢字とは違い、ひらがなに寄り添った漢字のデザインに驚いた」と話されたのは、「なるほど」と思いました。
関口さんには、webフォントユーザーとしての要望を直接お伝えできたのがよかったです。日本語webフォントは技術的にはどんどん進化しているので、今後の展開に期待したいです。webデザインは、紙媒体のタイポグラフィ世界から見ると「妥協と諦め」の世界ですが、その度合いも少しずつ解消されてゆくと思います。
全体的に非常に内容が濃い、充実したイベントでした。
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今回展示した、合成フォント見本のPDFデータをアップしました。
何かの参考にご活用いただけると幸いです。
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◉関連リンク(レポートなど)
・大阪DTPの勉強部屋「書体の誕生」展 Facebook写真
・「書体の誕生」展 — togetterまとめ
・亀のぷいぷい — 講演の詳細レポート
・FONTWORKS ニュース
◉関連リンク(2014.12.30 追記)
・FONTWORKS LETS 会員さまインタビュー
(大阪DTPの勉強部屋 宮地 知 様)
・503 DESIGN Garden