7.27.2021

なぜ? 日本語デザイン〈3〉ブランディング

Matbirdです。前回はマーケティングに「製品」や「プロモーション」という言葉が含まれていて文字とタイポグラフィが関係しそうだというところまで紹介しました。今回は、まだ触れていなかったキーワード、ブランディングについて書かせていただきます。

ブランディングとマーケティングという言葉がありますが、実はこれらは別物ではありません。マーケティングの戦略にブランディングがあります。

ブランディングは「自社製品や企業そのものの価値やイメージを高めようとすること」などとよく説明されています。正しいと思うのですがこれではわかりにくいと私は考えています。ブランディングをごく簡単に言うならば、「我々は、○○な人のための□□のプロフェッショナルです」ということに集約できます。これをコンセプトとも言います。ブランディングとは、マーケティングにおいてコンセプトも同時に伝えて内外に認識してもらうことです。

ブランディングを行うメリットとしては、手間暇がかかりますがファンを作ることができ、ブランド価値を生かした価格設定ができ、優秀な人材も集まるでしょう。ブランディングを行うことはマーケティングをより強化します。

いいことずくめなのですが、一点注意事項として、ブランディングには手間暇がかなりかかります。そのコストが許容できない方には、私はセリングに徹することをおすすめしています。ブランディングもマーケティングも絶対にしなくていけないものではありません。

ここでは、ブランド価値を生かした価格設定とはどういうことかを簡単に説明します。例えば同じデザインで同じ素材のTシャツがあるとします。ブランド力があるかないかで価格が異なっていても消費者は違和感なく受け入れてくれます。ブランド力がない場合500円でしか売れないTシャツが、ブランド価値が付加されると10,000円でも買ってしまうことに頷ける人は多いのではないでしょうか。魅力的なブランドがあると、その価値をもとに価格設定が行えるため、利益率が高く、収益性も向上することでしょう。これが簡単なブランディングを行うメリットです。

次回はブランディングにタイポグラフィはどう活きるのかについて触れます。


参考文献 福井晃一『デザイン小辞典』ダヴィッド社、1978、1996