7.13.2021

なぜ? 日本語デザイン〈1〉何を目指しているのか

Matbirdです。今回から4回に分けて、日本語デザイン研究会はどういうものなのかについて説明させていただきます。

我々日本語デザイン研究会は、『タイポグラフィ不毛の地と言われた、中部地区において、文字と日本語のデザインの大切さを広め、文字に興味をもつすべての人たちのために「情報交換の場」を作るべく活動します』と謳っています。これはどういうことかを一歩踏み込んで説明しますと、出版と広告のタイポグラフィのクロスオーバー(垣根を越えてまじりあうこと)を目的としています。

我々が文字が大切だと言いますと、反射的に「難しい世界だよね?」「フォントオタク、印刷オタクだよねー!」と言われることがままありますが……わかりにくさの改善には応えないといけないと思うものの……全く違います。日本語デザイン研究会は、わかりやすさ、楽しさ、有用さ、安全な場所づくりを基本に置いて加納佑輔と的場仁利が運営しています。不定期でイベントを行っていますが、積極的にメンバーの募集をしていませんので現状二人の間で日々文字とタイポグラフィの情報がやり取りされています。

出版と広告のタイポグラフィがクロスオーバーされるとどういう良いことがあるのでしょうか。出版や印刷の方には広告のアイデアを吸収し、タイポグラフィをよりセンスの良いものにしていただけるでしょう。そして広告の方には、出版物に見られる高品質なフォントを知ることができ、精緻な文字組やレイアウトを身に着けられるなどのメリットが期待できます。そして、中部地区は商業の方が盛んですので、どちらかというと出版のタイポグラフィのテクニックを広告に持ち込むことに重心が置かれています。

次回は、経済活動と日本語デザインの関わりについて触れます。


参考文献 福井晃一『デザイン小辞典』ダヴィッド社、1978、1996