10.24.2013

ウェブフォントを使おう

本ブログはウェブフォントサービス「フォントプラス」を利用して、ウェブフォントを使用しています。見出しは「筑紫B見出しミン」、本文が「筑紫オールド明朝R」です。
2年ほど前にいくつかの日本語ウェブフォントサービスがはじまり、文字好きの間でそれなりに話題になりましたが、2013年になった今でもそれほど普及していません。
日本語のウェブサイトが英語のサイトにくらべて醜悪であるという意見はそれなりにあり、その原因のひとつとして「ウェブで使えるフォントが少ない」というものがありました。それなのになぜ日本語ウェブフォントが普及していないのでしょうか。
原因を考えてみました。

・導入してもウィンドウズではきれいに表示されない
・縦組みが現実的でないので、導入する強い動機がない
・しっかりとした組版ができないので、導入しても
 きれいな文字組にはならない
・ブラウザの設定によってはうまく表示されない場合がある
・クライアントに理解してもらうのが難しい。ウィンドウズの場合
 メイリオよりも汚く表示されるため、場合によってはクレームになる
・本文のフォントを変えることに価値を感じていない
・ウェブフォントを「使いたい」と思わせる、かっこいい事例が少ない

技術的な問題については、確かに不十分さを感じます。しかし、紙媒体とウェブ両方を作っていて思うのは、とにかくウェブには妥協しなくてはならないことが多いということです。紙媒体の場合、予算さえかければ妥協点を減らすことはできるのですが、ウェブの場合、どうしても旧型のPCからタブレット・スマホなど、閲覧環境に依存してしまう以上、精度の高いデザインは諦めるしかなかったりします。
そのため、文字にこだわるウェブ制作者からすれば技術が不十分だし、文字よりも他の部分に重点を置くウェブ制作者からすれば、閲覧環境によって表示のされ方が変わってしまうウェブフォントなど、使ってられないということになるでしょう。

しかし、文字にこだわるのであれば、現時点での技術が不十分でも使う価値は十分にあると思います。案件にもよりますが。例えば、本ブログがMS明朝で表示されても内容と合っていないので、説得力は落ちると思います。やはり内容によって書体を変えるのは当然で、現時点ではユーザーはそこまで意識していなくても、いずれ無意識的に書体の違いを感じるようになります。そのために制作者はユーザーの一歩先を見据えて作るべきでしょう。

個人的には、合成フォントが使えるようになってほしいと思うのですが、現時点ではそれができるサービスはないようです。
あとはやはり縦組みは避けて通れないと思います。イワタオールド明朝や游築見出し明朝体などは縦組みでこそ真価を発揮します。